サマリー

ブランドコンサルティング会社の株式会社リスキーブランド(本社:東京都渋谷区、代表:田崎和照、以下「リスキーブランド」)は、同社が2008年から実施している生活意識調査MINDVOICE®調査(約4,000サンプル/年)を用いて行なった「カーシェアリング受容動向」について報告いたします。

  1. 2016年のカーシェアリングの利用者は約5%。
  2. カーシェアリング利用者は若年層、情報感度が高い人たち。
  3. カーシェアリングは活用率が高く、買い物など日常のチョイ利用が多い。
  4. カーシェアリング利用者の3割は『マイカー欲しい』派、2割が『マイカー要らない』派。

1.2016年のカーシェアリングの利用者は約5%

カーシェアリングとは、ウィキペディアによると『一般登録を行った会員間で特定の自動車を共同使用するサービスないしはシステムのこと。自動車を借りるという面ではレンタカーと近い存在であるが、一般にレンタカーよりもごく短時間の利用を想定しており、利用者にとってはレンタカーよりも便利で安価になるように設定されていることが多い。』『レンタカーは不特定多数が利用するシステムであるが、カーシェアリングはあらかじめ利用者として登録した会員に対してのみ自動車が貸し出される。』とあり、車の保有コストを負担することなく使用のメリットを享受できる合理的なシステムとして注目されているものです。

2017年度MINDVOICE®調査のデータから、普通免許保有者(N=3,502)のカーシェアリングサービス利用状況を分析したところ、普通免許保有者全体の4.9%がカーシェアリングの利用者(この1年間にカーシェアリングのサービスを利用した人)であることが分かりました。 (Chart 1 参照)。

このデータによると、「レンタカー」の利用者は19.4%、「タクシー」の利用者は50.4%ですから、カーシェアリングの普及はまだまだ小さいと言えますが、2017年度MINDVOICE®調査によると、普通免許保有者(N=3,502)のマツダ車の保有率が5.0%ですから、普及し始めたばかりのサービスと考えると結構多いとも言えます。

2.カーシェアリング利用者は若年層、情報感度が高い人たち。

カーシェアリング利用者の年代構成をみると34歳以下が利用者全体の6割を占めています。また、他のカーサービスに比べて特に15-24歳の若年層に多いことが分かりました(Chart 2参照)。

それぞれの利用者に情報感度を聞いたところ、カーシェアリング利用者の約半数が、「話題になる前にいち早く、1度は必ず体験するほうである」または「大抵のことは人より早く体験してみるほうである」と答えていることから、カーシェアリング利用者は情報感度が際立って高いことが読み取れます。(Chart 3参照)

2002年にスタート(*注)した日本でのカーシェアリングは、近年急速に普及が進みつつあります。現時点(2016年~2017年)におけるカーシェアリングは、情報感度が高い若年層がまず飛びついた形だと言えるでしょう。彼らをカーシェアリングの初期利用者(イノベータ層)と捉えると、今後カーシェアリングサービスが身近になるにつれ、カーシェアリングは、アーリーアダプター、更にはフォロワー層に拡大し、さらに市場が拡大していくものと推察されます。

3.カーシェアリングは活用率が高く、買い物など日常のチョイ利用が多い。

カーシェアリングで特徴的なのは利用頻度の高さです。カーシェアリング利用者の41.2%が月1回以上カーシェアリングを利用しており、同じ項目でのレンタカーの11.2%、タクシーの19.7%に比べて極めて大きな値です。(Chart 4参照)

まだ利用者が少ないカーシェアリングですが、利用者の活用率はかなり高いと言えます。

このことは、利用目的からも裏付けられます。カーシェアリングの利用目的は「買い物」が35.3%、近距離のドライブが32.4%と、買い物など日常のチョイ利用が多いことから利用頻度の高さにつながっているようです。一方レンタカーは「旅行先での利用」が58.9%と長距離での利用、タクシーは、「深夜・早朝の移動」が30.1%、「交通の便が悪い場所への移動」が27.6%と、非日常での利用が多いことが分かります。(Chart 5参照)

4.カーシェアリング利用者の3割は『マイカー欲しい』派、2割が『マイカー要らない』派。

全体でみると、現時点ではまだまだカーシェアリングへのハードルが大きいようです。「(カーシェアリングの)サービスがどんなに普及しても、できればマイカーは持ちたい」とする『マイカー欲しい』派は普通免許保有者全体の42.6%です。『マイカー欲しい』派は、11.6%を占める「(カーシェアリングの)サービスが普及すれば、マイカーは持ちたくない」とする『マイカー要らない』派の3.7倍です。また、「マイカーの購入費用や維持費と天秤にかけて、その時点で合理的な方を選ぶだろう」とする『合理的判断』派は24.7%に過ぎません。(Chart 6参照)

新しいサービスを経験すると、そのサービスに対するハードルは一般的には低くなります。この調査でも、『マイカー欲しい』派は、カーシェアリング非利用者全体の43.1%であるのに対して利用者の中では32.4%と約1割減少します。一方『マイカー要らない』派は、カーシェアリング非利用者全体の11.2%であるのに対して利用者は20.0%と1割近く増加します。(Chart 7参照)

このデータを見る限り、ドライバーの3割強はどんなにカーシェアリングが普及してもマイカー所有し続け、2割は、カーシェアリングが普及するとマイカー所有の意思はなくなるという形態になることが予想されます。
カーシェアリングサービスの普及を左右するのは、約4割を占める『合理的判断』派が、利便性と費用の合理性をどう考えるかにかかっているでしょう。

*注:公益財団法人 日本自動車教育振興財団「カーシェアリングと若者のクルマ利用」より